吾輩の独り言

X太のサッカー生活を支える吾輩。
憂鬱なぼやきを並べ連ねる。

それから

今年も今日で終わりなので、X太の話を少し、

7月にチームバードを退団した後の話。。。


もうサッカーはしたくない。

ボールは捨ててくれっ。

そう言っていたX太の話だ。


中学生になったらサッカーを辞めてもよいが、

小学校の間は週2、3回はサッカーをすることになっていた。

それがチームバードを辞める条件だった。


いくつかのスクールに目星をつけて体験に行っていたようだ。

ところが、その内の一つのスクールのコーチが、

ジュニアユース(中学生のクラブチーム)の監督をしていた。


一緒にやらないか?

練習するところが無いなら、うちのチームでやってもらって構わないよ。

所属チームと上手くいかない小学生は毎年いるんです。

うちではそういう子の面倒を見てるんですよ。

よければ、好きな時に練習しに来てください。


と優しく声をかけて頂いた。


大変ありがたい話だった。

藁にもすがる思いだった我が家には、まさに救いの神だった。

最初の2、3ヶ月は週2か3をきっちり守って、行ったり休んだりしていたが、

段々と意識が変わっていくのが分かった。


公式戦など出場できない試合日もしっかりチームと同行するようになって、

中学に入っても、このチームでサッカーを続けると言いだしてくれた。


けして強いチームではないが、

本当に良かったと思っている。



仮称チームロックムーンという。

ジュニアユースは所属するリーグによって階級が分けられている。

関東リーグ > 県1部リーグ > 県2部リーグ > サテライトリーグ

チームロックムーンはサテライトリーグに属していて、

今年の3年生は、そこで後ろの方を争っていた。


喜んでばかりはいられないんじゃないのか。

そんな声もあるとは思うが、

当のX太は「そうではない」と言うことをチームバードで学んだようだ。

やりたいサッカーが出来なければ、いくら強くても意味がない。

それを学んだようだ。


現実はそんなに優しくはないと思うが、

X太はこんな事を言っている。

「今の俺の夢はチームロックムーンを県2部リーグにあげることだ。」


吾輩は目頭が熱くなった。


普段の生活態度を見ていると、その意気込みも随分と怪しいのだが。。。

ぐっと堪えて何も言わずに、これからのX太を見守っていきたい。


では、またいつか。

3段階目の崩壊(構造的な問題)

ひらたく言うとこうなる。



受けたい指導と提供される指導の不一致。

やりたい戦術と提供される戦術の不一致。



指導者の立場ならこう反論するだろう。

一人一人やりたい事は別々だろうし

サッカーの戦術はチームの数だけあって

不一致が起こるのは当たり前だ。

いちいち全員の意見を聞いてられないし

誰かに合わせれば誰かに合わなくなる。

明らかにナンセンスな意見だ。



ごもっともな反論だとおもう。

その指導者の反論に再反論するつもりはない。

ただ選手達はおおいに不満を抱いている。



子供目線でみればサッカーの戦術はある程度単純化できる。

二つに分類してみたい。


古典的戦術(仮称)

流れの中でポジションチェンジが発生しずらい攻撃をとる手法。

攻守が守備に切り替わった瞬間の選手配置は常に一定の範囲におさまっており、

切り替わった瞬間から危機的な状況になることは少ない。

攻撃の手法が守備の安定を保証してくれる。

直線スピード、アジリティ、身長、体重など身体能力が揃っていれば、

比較的低いコストで負けないチームをつくれる。。



革新的戦術(仮称)

流れの中で頻繁にポジションチェンジを繰り返す攻撃をとる手法。(流動的な攻撃)

攻撃時の選手間の距離が比較的近くピッチに味方選手があまりいないエリアができやすい。

攻守が守備へ切り替わった瞬間の選手配置は多様化し、

相手チームにとって有効なスペースが存在する場合がある。

切り替わった瞬間から危機的な状況になりやすい。

攻撃時から攻守が切り替わったことを考えたオフの動きが必要になる。

全体としては高度な空間認知力、攻撃では高い技術と瞬間的な創造性、

守備では多様化した状況をさばく高い判断力と経験値が求められる。

チーム造りとしては高いコストが必要になる。

勝たなければならないプロの場合には全てのチームがとれる戦術ではない。


それが故に古典的戦術は現代においても世界の主流のように思う。

にも関わらず古今東西にわたって揺るがないことがある。

拍手喝采を浴びるのは常にいつも革新的サッカーを目指して、

努力を重ねてきた選手とチームだということだ。。。。

南米や欧州の名門クラブが魅せる流動性は時に芸術と称賛される。

子供達はそんなサッカーに憧れてサッカーを始める。


古典的サッカーは、ある程度まで低コストで強くなれてもその先はない。

特に日本人の身体では限界がある。

このスタイルで限界を破るには本当に薬物が必要になってしまうだろう。

正々堂々を古来からの文化とする日本としては有り得ない道となる。


選手達は指導者よりもはるかにそのことを理解している。

今、学ぶべきは革新的サッカーであることを。

多くの選手が強い意志をもって革新的サッカーに挑戦したがっている。


しかし育成現場の実態はどうだろうか。。。。

指導者はためらいもせずに選手達のその向上心をへし折っている。

反論できない選手達に上から押し付けている。

彼らが望んでいるものとは180度異なるものを。


これは指導者の悪意からくるものではないと思う。

裏には日本サッカーの急成長がある。


「革新的なサッカーを教えて下さい」といってもほとんどの指導者にはそれが出来ない。

指導者が子供の頃の日本はサッカー弱小国だった。

どこへいっても古典的サッカーしかなく革新的サッカーを見ることすら叶わなかった。

運良く見た人にとっても別世界の異次元空間のできことでしかなかった。


でも今はそれが手の届くところにある。

指導者の胸の内は苦しいのかもしれない。

というより苦しんでいると思う。

目の前に革新的サッカーがあるにも関わらず、

彼らにはそれを教えるノウハウも知識もないのだから。


指導者には大きく分けると2種類のタイプがあると言う。

自分のスタイルを選手へ強要していくタイプと、

特にスタイルを押し付けることはせずに選手の良さを活かしていくタイプ。

育成年代の指導者に限って言えば意外にも優秀な指導者は後者に多いそうだ。


古典的戦術しか知らない指導者は後者に転向すればいい。

ノウハウも知識も0から始められる。

それが最善策だと吾輩は思う。


ただ、指導者が古典的戦術にこだわる理由はまだある。

少子化と相まって子供を集めるのが年々難しくなっている。

チーム存続のために結果を残さなくてはいけない。

革新的サッカーでは結果は保証されない。

そう考えている節がある。


と言うよりは結果の追求を理由に

古典的戦術しかとれない自分の姿を正当化しているのだと推測できる。


こうして受けたい指導と提供される指導の不一致は起こっている。

やる気のあった選手がモチベーションを下げ、

人によってはサッカーを嫌いになっていく。

最悪の場合にはサッカーから離れていく。


x太はこんなことを言っていた。

「今までやってきたサッカーを全否定されている。」

「前は次から次へとアイデアが溢れ出たけど。」

「今は何をすれば良いか分からない。」

「だからミスパスとバックパスになる。」



現在の日本代表は革新的サッカーにチャレンジしている。

オランダ、スペインをルーツにした連動したショートパスと、

南米の切れ込んでいくドリとスルーパスが生む流動性。

この両方の良いところを備えた攻撃手法だ。


来年の東京五輪の必達目標は、

「革新的戦術で過去最高の成績をおさめること」。

次のW杯の最低ラインも同じになる。

これは誰かに対しての責任ラインではなく、日本サッカーが発展するか衰退するか

それを決めるラインという意味になる。


少子化と育成現場の構造的問題を抱えて、

日本サッカーの底辺は瀕死の状態だ。

息を吹き返すには日本のトップチームの華やかな勝利が必要になる。


先日のコパアメリカでは南米と若き日本が渡り合った。

五輪で成功をおさめる可能性はあると思う。


ただ敵は多く茨の道になる。

コアなサッカーファンの中には革新的戦術を嫌う人が多い。

残念ながら元プロサッカー選手や育成年代の指導者などだ。

サッカーのヘビー経験者がその中心だ。

彼らの経験が活かせなくなるのを深層心理で強く恐れている。


どの業界にも良くある典型的な構図で、

主流派が変化を阻む抵抗勢力になっている。

協会関係者の中にも当然ながら何人もいると思われる。

「地に足をつけたサッカーを」などと言う人をみたら要注意だ。

けして頷いてはいけない。


代表は政治に勝って試合にも勝たなければならない。

革新的スタイルを貫いた上で勝利を掴んでもらいたい。

そして国内の古典的主流派の考えを根底から覆して欲しい。


そうならなければ、

日本サッカーはビジネス性(面白み)を欠き

少子化と相まって衰退は既定路線となり

コアなサッカーファンの職も失われていくだろう。



話が少しそれた気もするので戻すと

もし違った指導方針だったなら

x太も救われていたかもしれない。

そう思うのである。


まぁ。どうあるにせよ。

人としての成長を考えれば一つの区切りとして

6年のおわりまでは続けるべきだったと思う。

計画的というよりは本人の涙の吐露を受けて急に今回の決断になった。

想像以上に深くプライドが傷ついてしまったようだ。


そろそろ終わりの時間なのだが。

このまま終わると特定の指導者への批判と取られる可能性があるので追記したい。


今さら感が拭えないが、

吾輩の独断と偏見でチームバードの指導者に点を付けるとしたら

100点満点中100点と思う。


4年の頃だったと思うが何度も練習を見たことがある。

理論的な指導者だったと思う。

勝利至上主義の指導者は沢山いるが、

その中でも本当に勝っていく指導者はそんなにはいない。

古典的サッカーを本質から掴んでいるのだと思う。


一言で言えば

a.古典的戦術とb.身体能力を掛け合わせるサッカーだ。


x太が怪我をする前までは、

比較的自由なサッカーが許されていたし、

身体能力面で突出しているチームではなかった。


放っておいた訳ではなく手を加えたのだと思う。

指導者が自分のメソッドに当てはめて

チームを作り上げたというイメージが正しい。


半年たって戻った時には、

全く別のチームに生まれ変わっていた。

わずか半年間の変身劇だった。


a.古典的戦術に関しては左右を中心に選手の自由を

少しずつ奪っていけば半年でやれる気がする。

b.身体能力の劇的な向上の実現には、

想像を超える魔法のトレーニング法があったのだと思う。


前スレでも述べたが、

チームバードには劇的なアジリティの向上があった。

アジリティだと見た目になってしまうので、

気がしただけだろっ!そう言われてしまいそうだ。


なので客観性のある直線スピード(短距離)で説明してみたい。

怪我前は練習を良くみていたので覚えている。

ピッチを横断するダッシュをよくしていた。

13(当時14)人中7番目ぐらいで真ん中だった。


学校ではどうかというと、

これもちょうど男子では平均的だった。

チームと学校の能力分布はほぼ一致していた。

x太はどちらの集団でも真ん中へんだった。


怪我が明けるとチームでは完全に最下位になる。

試合中に「x太っ!足が遅いっ」と何度も言われるようになっていた。

確かに明らかに遅かった。

しかし学校では相変わらず真ん中あたりだった

半年で2つの集団の能力分布は明らかに変わった。


実はこの後、x太は少し足が速くなる。

見かねて吾輩が無い袖を振った。

都内のフォーム改善専門のジムへ3ヶ月ぐらい通わせた。

運動会などの学校行事の結果を見る限り、

学校ではトップクラスのスピードになった。

しかし、運動会と同じ月にチームで行った最後の合宿でのダッシュでは13人中後ろから3番目だったと言う。


学校では偏差値70、チームでは40ぐらいになる。

チームが劇的に能力を向上させたということがよく分かると思う。


ここからは見た目の話になるが

アジリティはもっと劇的に変化していた。

x太のアジリティは怪我前のチームではトップクラスだったと思う。

怪我後は最下位に転落した。

もちろん前投稿のアジリティ後退問題が影響していたとは思うが、

それだけでは説明のつかない落ち方だと言える。


休会中に秘密裏に魔法のトレニーングが行われたのだと思う。

このトレーニングには相当な価値があると思う。

僅か半年弱でこれほどの効果があるなら、

そこだけを切り売りしても相当高く売れる。


この魔法のトレーニングには150点の価値がある。

勝利至上主義に傾倒した古典的戦術の指導は – 50点

合計100点満点と言っていいと思う。


この魔法のトレニーングをどうしてx太には教えてくれなかったのか。

今思えばそれが残念でならない。


20年ぐたい経ったある日。。。

偶然に街の囲碁クラブでチームバードの指導者に会う気がする。

そうなったらお互い下手な囲碁でも刺しながら教えて欲しい。

あの半年間でどんな魔法を掛けたのか。


x太が怪我明けに復調できなかった真の原因は、その魔法で間違いない。


20年後を楽しみにしている。

真実が解き明かされる日を。

2段階目の崩壊(アジリティ後退問題)

幼い頃のアジリティには天性の光があった。

微速ではあるが、その能力は年々低下していき、

その進行は止まることはなかった。


身長の伸びが影響していると分かった。

あいかわらず背は低い方ではあるが、

1年に4センチぐらい伸び続けてきた。


縦横比とでも言うべきだろうか。

年々、細長くなっていく。

誰でも、多少は細長くなっていくが、その度合いが極端だった。

6年生になっても3年生の時の体重から1キロしか増えていない。


細長くなると、方向転換した時に上半身が横へ振れるので

おっとっと現象が起きるようになる。

普通の選手は、おっとっと現象を体幹で抑えて

素早い方向転換をするのだがx太には難しくなっていた。


柔軟、ストレッチを含めた体幹などの地味練が嫌いで、

やらずに来たことも影響したと思う。

x太は自分のプレースタイルを維持できなくなってしまった。



ちょうど一年前。

日差しの強い日だった。

隣接する都道府県のクラブチーム(チームJT仮称)と練習試合があった。


さらに過去へと遡ること半年。。。

チームバード(x太のチーム)はチームJTと対戦していた。

チャンスは数えるほどで身体能力の差を感じる試合内容でチームは完敗していた。


その試合を鮮明に覚えていたので同カードの試合を見れば

怪我明けの状態を判断しやすいと思い観戦にでかけてみたのだが。。。

これほどまでに重大な日になるとは考えていなかった。

その日、吾輩は現実をみることになる。


休んでいたとは言え半年足らず。

それなのに、チームメイトと2、3年分ぐらいの身体能力差がついていた。

縦のスピードもあったが際立ったのがアジリティだった。

強い衝撃を受けたのを覚えている。


そしてチームは。。

半年前に身体能力差で完敗した相手に、

逆に身体能力で圧倒していく。

5試合して5試合とも完封勝利だった。


こんな事が起こり得るのだろうか。

吾輩は目を疑わずにはいられなかった。

薬物でも使用しているのではないか。

結構な長期間にわたって真剣に疑ったほどだ。


もちろん、そんなことではないだろう。

もしそうなら親ぐるみという事になるだろうし、

1人、2人ならともかく、

多くの親が身体への副作用や人格形成への悪影響を無視して

アホなことをするとは考えにくいからだ。


今ではこう思っている。

半年間の休養で体幹を含む筋力が落ち、

その間に背が伸びてより細長くなった。

体幹、縦横比の度合いが悪い方へと大きく進行した。

だから相対的にみて、身体差が2、3年分に見えたのだと。


あの日、未来がどうなるのか分かった。

怪我前と同じような立ち位置には、逆立ちしても戻れないだろう。

サッカーへのモチベーションは、さらに悪化していくだろう。

吾輩にはそれがみえてしまった。