吾輩の独り言

X太のサッカー生活を支える吾輩。
憂鬱なぼやきを並べ連ねる。

オフェンス論


□1□オフェンスの宿命


オフェンスには二つの宿命がある。
一つは美しくあること。
もう一つは点を取ること。


一般論ではの話だが、、、

この二つは相反することになっている。

しかし、一般論ほどくだら論はない。


この二つを反対向きにするも

同じ方向を向かせるも、

やり方次第だと思う。


そして同じ方向を向かせることに成功したチームだけが、

最強にして眩しいばかりの輝きを放つことができる。


勝てば良いと美しさの追求をやめれば、

最強のオフェンスには辿りつけない。



□2□美しさとは何か。


美しさとは、観客の予測を超えること。
その絶頂期は固いディフェンス網を突き破る瞬間にある。
観客の鳥肌を立たせるプレイだ。


サッカーをビジネスとして高く売りたいならば、

そのサッカーが持つ芸術的な側面を強化せざるを得ない。


クロスやロングボールなど、

敵のディフェンス網を迂回した攻撃は、

残念ながらド素人にも予測が着いてしまう。
超一級品でも、芸術とは言えない。


ピンポイントで前線につなぐ精度の高いパスは、

素晴らしいとは思うしプロの成せる技なのかもしれないが、

予想を超える代物ではない。


解説者がサッカー界を盛り上げるために、

一生懸命選手のプレーを持ち上げるシーンは良くある。


しかし、本物の芸術に解説はいらない。

観た者は、鳥肌が立つ。

そして、何を見たか知る事になる。


どんなに、解説者が盛り上げたとしても、

プロサッカーは魅せなければダメだ。
観衆は減り、話題にする人も減り、
選手の年俸も減り、目指す選手も減り、
衰退の負のスパイラルへ突入してしまう。


逆に、魅せれば、

ユニフォームは売れ、観客も呼ぶ。
魅せるチームは人気もでるし注目もされる。
年俸も上がり、目指す選手も増えていく。


なぜ山を登るのか。
そこに山があるからだ。
と言う掛け合いがある。


なぜディフェンス網を破るのか。
そこにディフェンス網があるからだ。

吾輩はそう言いたい。


ロベルトバッジョは、
選択肢が複数ある時に、
必ず難しい方を選択したと言う。


そして、ファンタジスタと、

最初に呼ばる男となった。




□3□得点力


ディフェンス網を突き破る意味は、

実はもう一つある。

攻撃は多彩であるほど守りにくい。
クロスばっかり上げてくれば、

やがてディフェンス陣は慣れてしまう。

ロングボールしかりだ。


吾輩もクロスやロングボールを否定してはいない。

むしろ必要だと思う。


攻撃パターンの中心に置くのは

是非とも、やめた方が良い。

そう思っているだけだ。


パターンを多彩にして、

選択肢の一つにするべきだ。

そう思っているだけだ。


ディフェンス網を一人で破るにも、

数人でパスを回して破るにも、

桁外れの技術と感性を要する。


敵の守りの一番固いところを

わざわざ選んで通るのは、

阿呆らしいほど無駄なことだ。


そんな正論のもと、

ディフェンス網を迂回する攻撃を主としてしまうと、

点を取る選択肢をいくつも捨てることになる。


そんなプレイばかりしていると、

大事な技術と感性が身につかないだけではない。
攻撃オプションが限定されてしまい。

多彩な攻撃ができなくなる。

得点力も落ちてしまうことになる。


チームが波に乗っていて

先取点を取れている時は

苦にならないことも多い。


しかし、チームとは流動的なものだ。

そんなにいつも順風ではない。


先取点を取られて

敵にリトリートされたら

キーパーとディフェンスラインの間のスペースはなくなる。


多彩な攻撃は不可欠になる。

ドリブルで突破しきる。

ドリブルからのスルーパス。

ショートパスによる突破。



□4□突破


定義に疑義を持つ方もいるとは思うが、

ここでは、ディフェンスとディフェンスの間を

突き破る攻撃を突破と呼ぶことにする。
突破の分類を三つほど整理したい。


1.ドリブル突破。
スペースベースディフェンスが普及し、

(ディフェンス論参照)

ディフェンスのコンパクト化が進むことを想定すると、

ドリブル突破の難易度はかなり高くなっていく。


理由1.
カワした瞬間に次のプレスを受ける。
この対策としては、

常に二人目の動きを意識する必要がある。
二人目の動きの逆を取るような

一人目のかわしが必要になる。


これによって、二人同時にかわすか、

少なくても二人目のプレスを遅らせ、

かわした直後の不安定な状況を立て直す

わずかな時間をつくることができる。


理由2
後方からのプレスバックも

考慮にいれなければならない。


メッシがドリブルの最中に、

真下を見ることがあるが、

これはプレスバック対策だと言って良い。


自分の身体が死角になるため、

真後ろを見ることは出来ないが、

周辺の300度を視野に収めることはできる。
背後の選手のコースを切りながら

目の前の選手を交わす必要がある。


理由3
ディフェンス組織全体が追いかけてくる。

スペースベースディフェンスでは、

敵のディフェンスはボールとゴールの間の

スペースを潰すポジショニングを取る。

ディフェンス組織全体が

ディレイをしながら寄せてきて、

次から次へとプレスを受けることになる。


この対策は、

スピードと縦の逆を取るしかない。

これらは、簡単に身につく技術や感性ではない。

何度も失敗して、

感覚として養う以外に方法はない。



2.ドリブル&スルーパス

1.と3.の中間に位置する感性で、
ティキタカが3、4人で崩すのに対して、

2、3人の動きで崩す。


ドリブルしている選手の視野に入る

それを意識した動き出しで、

1人ないし2人で裏へ走る。


ディフェンスの2列目と3列目との間、

一番プレッシャーのかかるエリアに

ドリブルした選手が侵入したタイミングで、

裏へ2人ぐらい走り出すと

敵ディフェンスは混乱をきたす。

プレスか。マークか。判断が錯綜するからだ。


オフェンス側は、

そのままドリブルを継続する選択肢と

2通りのスルーパスと

合計3通りの突破法を手に出来る。


また、逆側にパスを通すと

さらにディフェンスを

混乱に陥れるることができる。


逆側にパスを出すとは、
ラインがA 、B、C、D、4人で形成されている場合、

裏へ走るオフェンスがCD間を抜ける時、

BC間やAB間にパスを通す事を指す。


ディフェンスラインを抜ける時は、

選手とボールは別々の道を通り、

裏でめでたく出会うと言うわけだ。


ディフェンスは迷う。

マークか、インターセプトか。

180度動く方向がことなる二つの選択肢。
究極の選択に迫られたディフェンスは、

ミスを起こしやすくなる。


プレッシャーのかからない

自由にボールを持てる状況で、

逆をついたパスを通すのはセンスの良い子なら

最初からできちゃったりする。


しかし、最もプレッシャーのかかる

2列目と3列目の間から逆パスを通すには、

受ける方も出す方にも高い技術と感性が必要になる。



3.ティキタカ
ワンタッチで狭い敵の隙間を

何本も続けてパス通すことができれば、

スペースベースディフェンスを

突き破ることができる。


足元へのパスはワンタッチ、

スペースへのパスはツータッチ以内の

早いリズムで、ショートパスを繋ぐ。


敵が引いて守りを固める場合には、

2列目3列目で4、4のブロックを

つくってくることが多い。

最近ではそれ以上の人数をかける場合も珍しくない。

その間を抜けるのは想像するだけで難しい。


難所でタッチのリズムを2タッチからワンタッチへ変えたり、

足元とスペースへのパスを組み合わせたりしながら間を抜く。


コンパクトディフェンスのハイプレスの中で

これをやってのけるには、

高い技術と感性を要求される。


そして、前項の逆をぬくスルーパスは、

ラインを破るラストパスにそのままあてはまる。


バイタルでパスを受ける選手の視野に入り、

できれば二人ぐらい走り出すと良い。


バイタルでパスを受けた選手は、

ワンタッチで逆パスを裏へ供給する。


この一瞬を創るには、

3、4人の感性と技術を要する。



□5□ザックは何故敗れたか。


ザックジャパンを思い出してみた。

距離感の近い陣形で、

ティキタカ突破を主旋律にしていた。

左右のクロスが副旋律になっていた。


当時の解説者は、

左サイドの攻撃とまとめて解説していたが、

左サイドの攻撃には2パターンあった。
長友のオーバラップからのクロス攻撃。


香川、本田、長友、遠藤らが

絡んだティキタカ突破だ。


一方、右サイドは内田、

酒井のオーバラップからのクロスが

メインだった。


吾輩は、ザックのサッカーは、

ハリルのサッカーより進んでいたと思う。

なのに、何故敗れてしまったのか。


香川、本田、長友、遠藤の絡みは

吾輩からすればディフェンス網の突破と言って良かった。

中央突破に近いと考えている。
しかし、

左サイドの攻撃と解説されることが多かった。
そう言ってしまう解説者の気持ちも分からんではない。


崩すのに4人。

それとは別に右サイドから岡崎や長谷部、

内田あたりが飛び込んで仕留める。

または、そこから改めて展開する形だった。

その4人で仕留め切らないのだ。


こうなると、弊害もある。

5、6人がゴールラインから

15メートル以内にいるシーンを良く見た。


ここからのカウンターは厳しいものがある。


いい攻めをしていたのに、

結果としては勝てない。
そんな試合を何度となくみた。


ティキタカ突破は

3、4人で仕留めなければ駄目だ。

15メートルラインを越えるのは3人まで、

これが成熟したチームのオフェンスと言える。


ザックが、

ディフェンス網を破る攻撃パターンを

主旋律に押し出したことは

評価しなければいけない。

しかし、

そのディフェンス網の突破は

人数をかけると言うことに頼り過ぎていた。


バイタルで後ろ向きにバスを受けた選手は、

前を向いてる選手に繫ぐと言う一点張りだった。

悪くはないが、そのまま自分で前を向く選択肢や、

ワンタッチで裏へ走る選手へ流す選択肢がないと、

敵にバレる。


しかも、

ゴール前のラストパスで

逆を通すことはほとんど0に近い。

そういう状況だった。


これでは、ボールを受ける選手は、

マークのディフェンスに100%の力で

防戦されてしまうので、

シュート決定率は落ちる。

これがお決まりの流れになっていた。


人数を掛け過ぎて

ディフェンス網を破るとなると、

攻撃そのものが大きなリスクになる。


そのリスクは、

相手のレベルが上がったり、

先取点を取られたりすると

顕在化する頻度が増す。


バルセロナは

ディフェンス網を突破する攻撃を

得意としているが、

それは、3拍子揃っているからだ。


1.ドリブル突破。
2.ドリブルからのスルーパス。
3.ティキタカ突破。


さらにロングボールや

ミドルシュートを副旋律に持っている。
これだけ攻撃が多彩になれば、

ディフェンスは四苦八苦せざるを得ない。

毎回違う攻撃を仕掛けられるからこそ、

人数をかけすぎない攻撃が可能になる。


日本では一番真似できそうな

ティキタカだけを不完全にコピーしてしまった。

シンプルにパスを回すだけなら、

何年かサッカーをやっているコ達なら形になる。

ましてや日本代表なら完璧にこなす。


しかし、そのままディフェンス網を破るとなれば、

難易度は天地の差ほど変わる。


ティキタカは、パスとトラップ、

それだけが全てと思われ勝ちだが、

ティキタカによって突破を試みる場合には、

まったく別の要素が重要性を持つ。

それがラストパス。

バイタルエリアから裏へのスルーパスだ。


これは、ドリブルによってバイタルに侵入し、

激しいプレスを受けながら、スルーパスを

出してきた選手の感性と通じる。


ティキタカで仕留めるなら、

そう言う選手が何人か必要になる。



□6□少年時代に何を学ぶべきか。


言わずとしれている。
3拍子だ。


1.2.3.の順で重要だ。
何故なら1.で抜き切る力があればこそ、

スルーパスが効く。
全く同じスルーパスでも

抜き切る力がある選手と

ない選手では、通せる確率は異なる。


抜き切る力のない選手なら、

ディフェンスはパスコースさえ

気にしていれば良い。
スルーパスが失敗に終わる確率は高まる。


ティキタカ突破にも似たような事が言える。

ショートパスしかしないチームなら

ディフェンスは、そこに意識を集中する。
オフェンス側からしたら、

それだけ難易度が上がってしまう。

その結果として人数をかけ過ぎた

攻撃をしてしまったりする。


つまり、ディフェンス網を突破するために

最も重要なのは、

1.のドリブル突破と言い切れる。

ディフェンス網を破るための

核心部分だったりする。


次に重要度が高いのが、

逆を通すバス。

激しいプレスを受けながら

繰り出すスルーパスだ。
この感性と技術が身につけることが

重要になる。


ティキタカ突破はこの後だ。

バイタルエリアでパスを受けても

慌てずに逆を通すパスを出せる感性と技術が無ければ

ティキタカ突破は完成しないからだ。


吾輩は、そう考えている。


とは言え、パスとトラップは、

サッカーの基本のキだ。


小学生から、試合でバスを強制するのは

マズイと思うが、

実戦的なパスとトラップの練習は

早いうちに始めるに越した事はない。


ある日突然、ショートパスを始めて、

やすやすと出来るほど簡単ではないし。

トレーニングだけは、

積み上げておくべきではないか。


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