吾輩の独り言

X太のサッカー生活を支える吾輩。
憂鬱なぼやきを並べ連ねる。

ディフェンス論

□1□なぜディフェンス論か


今、なぜディフェンス論かと言えば、

ディフェンス網を突破したいから。

そう言う答えになる。


ディフェンス網を突破するとは、
ディフェンスとディフェンスの間。

これを抜けることを指す。
クロスやロングボールはこれにはあたらない。


ディフェンス網を突破するためには、

ディフェンス組織を、良く知る必要がある。


敵を知り己を知ればと言う奴の、

敵の部分だ。


ディフェンスは組織で行う度合いが強いので、

理論が重要だったりする。

組織戦術のほとんどはディフェンスや、

攻守の切り替えにある。


一方で、オフェンスは、

個人や数人のイマジネーションで決まることが多い。


そこで、ディフェンスについて、

少し、まとめておこうと考えてみた。



□2□定義のズレ


吾輩がサッカーをしていた大昔から

マンツーマンだのゾーンディフェンスだのという言葉があった。


その当時の定義を思い出してみると、

今のそれとはズレている気がする。


もちろん吾輩がやっていたのは、

サッカーといっても弱小サッカーなので

当てにはならないのだが。


ただ、プロの選手や監督でも

ディフェンス用語の定義は、

人によって考えがかなり違う気がしてならない。


ここでは言葉の定義は、忘れることにする。

言葉の定義論争をしても意味がない。


実態はどうか。
重要なのはそこだ。


と言うことで二つの言葉を造る。

完全に吾輩の造語である。


1.マンベースディフェンス
2.スペースベースディフェンス


1.については我輩が学生時代の頃に、

ゾーンディフェンスだと言われていたものに近い。
と言うかそのものだと思う。


どうやら最近では、これをマンツーマンと呼ぶことがある。

良くわからんので、ゾーンディフェンスとマンツーマンの

二つの言葉は一旦忘れる。



□3□ディフェンス組織概略


二つのディフェンス組織を

簡単に整理してみたい。


1.マンベースディフェンス
10人のフィールドプレーヤが

自分のゾーンに入ってきた敵のマークにつくと言うもので、

一時的に二人同時にマークすることもある。
マーク対象は敵の動きによって流動的に変わっていく。
プレー中にマーク対象の引継ぎが発生して

混乱をきたす場合がある。


実際には10人全員で守備をせずに、

9人か8人ぐらいだったりして

2人ぐらいディフェンスを免除されていたりする。


当然ながら自分のゾーンと言うのは

敵の動きによって相対的なものになり一定ではない。


相手チームがボールを支配している場合には、

マーク対象と自ゴールの間に位置どり、

基本はボールホルダーへ寄せるのは一人になる。


マーク対象がボールやゴールに近づけば、

マーク対象との距離を詰め、

ボールやゴールから離れれば距離をとり、

マーク対象以外の敵の攻撃にも備える。


特にボールを持った選手が近づけば、

プレスに行った味方選手のカバーリングと

マーク対象の両方を意識した位置どりをする。


2.スペースベースディフェンス
ボールと自ゴールを結ぶ線上の、

ボールよりのスペースを全員で埋め尽くす。

荒っぽい言い方をするとこうなる。


仲間同士の距離感を重要とした陣形となる。
縦、横ともにコンパクトで、

ディフェンス、中盤、フォワードで3列の陣形を取る場合には、

縦20メートル、横30メートル程度に全体が収まる。


縦105メートル、横68メートルのピッチを考えると、

組織化された団子サッカーと言えるかもしれない。


基本的に全員守備となる。
フォワードにもプレスやパスコースを消す動きが迫られる。
逆サイドはガラ空きになる傾向があるため、

そこへのパスの動きを止める必要がある。

簡単にバックパスや横パスと言えども

通すことを許してはいけない。
また、間隔を保つため

バックラインは高めに保たれることが多く、

ディフェンスラインの裏への

精度の高いパスを通されると危険を生む。


ボールを持っている選手に

自由をあたえては絶対にいけない。


20×30のゾーンに入った相手選手には、

スペースを与えない。

時間も与えない。

自由にさせない。


これには、素早いプレスが必要になる。

相手に意図したプレーをさせない。

周りを確認する時間。

考える時間。

判断する時間を根こそぎ奪う。
これでサイドチェンジやバックパス、

裏を取るパスを困難にさせる。
仮に通されても精度は落ち、

次のプレーにはつながりにくくなる。


前へのショートパスやドリブルの侵入は、

スペースを埋め尽くすことで防ぎ、

敵のスペースを奪いとる。
時間とスペースを奪い。


相手のプレーの選択肢を潰し、

自由を奪う。


このディフェンス組織では、

フォワードが大きなキーマンになっている。


オープンサイドさえ取られなければ、

敵の前には強力なコンパクトディフェンスが聳えることになる。


仮にオープンサイドを取られても慌てることなく、

そのままの仲間の距離感を保って、

全員で横に走りボールを持っている敵選手を

コンパクトな組織で飲み込むと言う訳だ。


この1と2は狭いピッチでプレーすれば、

全く変わらない動きになるが、

広いピッチで敵が幅を持った攻撃を仕掛けてくる場合に

全く異なる動きになる。


1.のディフェンス組織では

敵の攻撃に合わせて広がりをみせるが、
2のディフェンス組織では

全く広がりをみせない。


中高時代にボールに吊られるなっ

と言われているシーンをよく見たが、

2.の組織論に立つと、それも今は昔と言う訳だ。


ただ、局所的にはやはりボールに吊られてはいけない場面がある。
ボールを持った敵の選手が近づけば、

プレスに行った味方選手のカバリングと

マーク対象の両方を意識した位置どりをする。
一緒になってプレスにいくのをためらわなければいけないシーンは多々ある。
20メートル×30メートルの中では、

一時的でもフリーの選手を出してはいけないからだ。


しかし、2.には1.のディフェンスとは決定的に違う部分がある。

2の組織では多くの場合で、

ボールを持った敵選手の周辺で

ディフェンス側は数的に優位に立てる。


つまり複数人がプレスにいけることになる。

敵に交わされても味方が周辺のスペースを埋め尽くしているので、

一旦止まるなどのまどろっこしい手順もなくハイプレスにいける。

というより激しくあたりにいかなければいけない。


相手の時間を奪うことが優先される。

交わされても次がいると言う

距離感の近いコンパクトディフェンスを信頼する。

一旦立ち止まるなどして時間を与えては危険になる。

精度の良いボールを通させ逆サイドに展開させたり、

裏を取られてはいけないのだ。
裏を取る敵フォワードの動きを警戒するより、

パスの出し手を徹底的に潰すのだ。


2のディフェンス組織は、

ボールありきであり、

味方同士の距離感ありきと言うことになる。


そしてこの2が、今、世界最先端のディフェンス組織の座を掴んでいる。


マンベースディフェンスが淘汰され、

スペースベースディフェンスが

栄華を極める時代がくるかもしれない。


この傾向が、進めば、
フォワードのハードワークは必須事項になるし、

ディフェンスを免除されるのは夢物語になる。

局面によってはプレスバックからのボール奪取も求められる。



□4□日本人には何が合うか


日本人の特性からすると、

1.マンベースディフェンスより、

2.スペースベースディフェンスの方が

向いている気がする。


マンベースディフェンスは、

組織ディフェンスではあるが、

所詮最後は1対1になる。
その1対1の結末は、

身体能力による部分が多分にある。
外国人選手のバネ、身長、俊敏性に

対応するのは簡単ではない。


その点、2.スペースベースディフェンスは、

数的優位を作りやすいため、

1対多の関係を作れる。
相手の身体能力が上でも、

止めることができるし、

全員守備、全員攻撃と言う

日本人文化にあっている気がする。


ここでもう一つ検討しなければならない問題がある。
折衷案は是か否か。


1.をベースにして、

コンパクト化を図ろうとするディフェンスは意外にも多い。
これは、矛盾が生じて崩壊しやすい。


昨今、オフェンス面で

ロングボールが栄華を極めているのは、

その辺に理由がある気がする。


出し手を潰すのか。
受け手を潰すのか。
ハッキリした組織論が必要と言うことになる。
どちらも中途半端で

ただコンパクトに構えるだけでは、

上を越されて裏を取られる。


出し手を潰すには、コンパクトな陣形で

時間とスペースを奪い取るしかない。
受け手を潰すには、

広がっている敵選手につくしかない。
両方を同じ優先順位で行うことは

物理的に不可能と思える。
これは仕方のない現実である。


1.か2はハッキリ選択しなくてはいけない。

そう言い切れるだろう。


どちらを選ぶべきかは、

吾輩の中では決まっている。


マーク対象に駆け引きや身体能力の差で

振りられることは良くあり得る。
フリーにさせたら、

狙った処へ蹴れる選手は増えている。


この時代背景が、

スペースベースディフェンスを生み出したことを忘れてはいけない。



□5□少年時代のディフェンス


少年時代に何を学ぶべきか。
これは、正直に言うと難しい気がしている。
未来のサッカーにおいて、

世界が、日本が、

どちらのディフェンス組織の進化系を採用しているのか。

それとも、どちらも存続するのか。

新しい型が生まれるか。


ただ、ディフェンスのコンパクト化は、

世界的にも、日本的にも止まらないだろう。

現時点は過渡期であり、

折衷型が多い気がしている。
ベースをマンベースディフェンスに起きながら、

コンパクト化をできる限り図ろうとしたり。
ベースをスペースベースディフェンスにしようとしてはいるが、

選手達の過去のマンベースの癖が随所に出たりして

上手くいかないケースだったり。


ただ、コンパクト化が進めば、

必ずスペースベースディフェンスにならざるを得ない。


まず、低学年までは
守備に走れること。
敵に激しく当たれること。
浮き球が増えてきたら飛べること。
これが何より大事と思う。


吾輩が息子に一年以上もの間、

言ってきたことがある。
走れっ、当たれっ。
その理由はそこにある。


残念ながら出来が悪いのだが。
もう少したったら、
走れっ。当たれっ。飛べっ。
と言うことになりそうだ。


ついで重要なのは10〜15メートル四方ぐらいでの

最適な位置どり、1.2.に共通な動きが一つだけあった。

それだ。


そして、高学年、特に5、6年。
ここでどうするか。
なんとなくポジション付近に居る的なポジションなら、

ポジションなど無くて良い気がする。


ポジションを決めると言うことは、

組織化そのもので、

ポジション決めは

組織化の中核となる。
そしてそれは、ディフェンス論と表裏一体であって、

ディフェンス論のない、

ポジションはプレーを消極的にさせるだけな気がしてならない。


ポジションを持ち出すなら、

ディフェンス論に迫るべきだと吾輩は考えるが、

それがいつからなのか。


それは、かなり難しい。
それには、多変量解析が必要かもしれない。
多変量解析については、またいつか。

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