吾輩の独り言

X太のサッカー生活を支える吾輩。
憂鬱なぼやきを並べ連ねる。

移籍から半年


移籍から半年が過ぎた。

振り返ってみる時期だと思う。

移籍先チームのリベルタ(仮称)は、

最善の選択だったのだろうか。


選考基準には、

当時のX太の要望をを十二分に取り込んだ。


ただ、吾輩の個人的な基準も潜ませた。
強いチームになる可能性が高いことだ。


矛盾を指摘されるかもしれない。
以前に父母や指導者が、
勝利至上主義者になってはいけない。
そんな記事を書いた。


強いチームを選ぶのは、
勝ちたさの現れではないのか?
そんな疑問が生じるかもしれない。


勝ちたいだけならクラブチームを選ぶ。
強いクラブチームならいくらでもある。
まぁ。試合に出られるかは別だが。
アハっ。


勝利至上主義とは、勝つと言う目的が、
育成より優先される状態。


クラブチームの指導者に聞けば、
うちは育成を何より優先しています。
そう答える。


ただ、彼らはクラブを生業としているので、
負ければ、悪いイメージがつく。
『最近、あそこ弱くなったよね。』
などと言われ。
選手が集まらなくなり、
死活問題となる。


少年団の中でも、
名門と言われるチームや、
それに続こうとするチームは、
選手の自由な判断を奪い、
チームコンセプトを押し付けてくる。
現実にX太は小2から、
それを経験した。


星の数ほどある少年団の中には、

選手の自由意志を尊重してくれるチームもある。

ただ大概、強いチームにはなれない。


この移籍では、強くて、かつ、自由な判断を尊重するチーム。

一見すると相反する解を求めた。


X太を移籍させようとしたとき

チームリベルタの関係者に、

数回にわたってこんなことを言われた。


『うちは、弱いチームですけど、

本当にうちで良いのですか。』


返答に困ったのを覚えている。
少年団の場合は、

同じチームでも年代によって

レベルはマチマチだ。
近所の子を集めてやっているので、

当たり年もあれば、ハズレ年もあったりするのは分かる。


吾輩は移籍前に

チームリベルタの同学年の試合を何度も見ている。

他の学年のレベルが高くてもあてにならないので、

移籍前に、この学年の試合を何度も見れたのは良かった。


一人一人の技術レベルが高く、
しかも指導者は試合中、
ドリブルをする選手を

さかんに支持し褒めていた。


こう言うチームは中々ない。
探していたチームだった。


『うちは、弱いチームですけど、

本当にうちで良いのですか。』


これを言われた時は、

少し不安になったが、

この学年は大当たりに違いない。
そう考えることにした。


タブーとされる少年団から少年団への移籍に

あえて踏み切ったのだった。


移籍して半年経って確信したが、

チームリベルタの3年生の実力は、
強豪地区と比較しても高い水準と言える。


今のところ、

強いチームになる可能性は十分にある。


移籍後に、
人数が12名から10名に減り、
これ以上減ると危険な数だが、
メンバーにハズレが一人もいない。

経験が短い選手もいるが、

全くそれを感じさせない。


一定の水準を全員がクリアしていて、

それぞれに個性がある。
こう言うチームは珍しい。


少年団は、
近所の子を集めているので、
良くても2、3人は
箸にも棒にもかからない選手が紛れ込む。


しかし、チームリベルタの選手は、

このまま順当に延びれば、全員ものになる。


よそのチームのエース級と
準エース級が揃っている。
球際の重要性を全員が理解し始めていて、
プレスや接触プレーもこなせるようになった。
X太の移籍当初からすると、
ディフェンス意識がハッキリ変わった。


懸念事項は、強豪地区の少年団や

クラブチームと比べると練習回数が少ない点。
土曜だけの練習だ。


普通のチームは土曜、日曜の両方に、

練習または試合がある。


練習時間は、如実に実力に現れてしまう。
今なら強豪地区の少年団と対戦しても

恐らく勝つだろう。。


しかし、練習時間に差がついたままなら、
強豪地区の少年団は、

いずれ届かないところへいってしまう。
せっかく、意識の高い子が揃っているので

もったいない気がしてならない。



まぁ。それはさておき。
納得がいかない方がいるかもしれない。


なぜ勝利至上主義じゃないのに

強いチームになる可能性を探ったのか。


この質問に答えるには
色々と遠回りしないといけない。



育成についての話だ。

『エピソード 毒キノコ』の回でも書いたが、

とあるスキルテストのデータを信じるならば、

技術が飛躍的に伸びるのは、3、4年まで。
その先は伸び率が鈍化する。


この時期までの育成と、
この先の育成には
多少変化が必要なのかもしれない。


この飛躍的に伸びる時期に、
選手に自由な判断を与えた場合と、
一般的なセオリーや、チームコンセプトを

押し付けた場合とでは違う結果を招くと思う。

選手の個性の生き死に大きく関わる。


あのブラジルから、
人材不足と言うニュースが流れたことがある。
その原因は、育成現場の欧州化だと分析された。
幼少期からセオリー、コンセプト、組織化などを意識し過ぎて
個性ある選手が育たなくなったとか。
分かる気がする。


もう一つ言えるのは、
『原始的な基本』はジュニア期の他に

集中して練習する時期かない。


原始的な基本は、
例によって吾輩の造語だ。
奪い。奪われず。運んで。かわして。決める。


原始的と付けたのは、
サッカーを始めた頃、
つまり幼少期にものを言う技術だから。


原始的な基本は、
その後のサッカーにおいて
意味を持たないのだろうか?
けして、そうではない。
確実に意味を持つ。


奪い。奪われず。
特にこの部分は重要性が高い。
必ずどんなチームへ行こうが役に立つ。


幼少期に最も注目される、
運んで。かわす。の部分はどうだろうか。


これは所属するチームによって

役に立つか否かが分かれる。


幼少期に運んで。かわす。

の力に頼ってきた選手は、
厳しい道を歩むかもしれない。


その選手の『先進的基本力』の

レベルによって明暗を分けることになる。


先進的基本力も吾輩の造語だ。
連動したパスと動きのあるトラップ。


原始的と先進的基本の中で、
何が最も重要かと言えば、
連動したパスと動きのあるトラップになる。


プロの試合では、

一試合の中でパスの数は、

両チーム合わせると、

多い時で1000回近い数になる。


これがサッカーであり、

パスを無視したら『サッカーをしない。』

そう言っているのと同じになる。
基本中の基本と言って差し支えないし、

反論できる者はいない。



ここで、大きな問題提起をしたい。


原始的基本中心のサッカーから
先進的基本中心のサッカーへ
いつから切り替え始めるべきなのか。

切り替えには、どの程度の期間をかけるべきなのか。


それは選手主導でなされるべきなのか。
指導者主導で行われるべきなのか。


これは育成世代の
永遠のテーマなのかもしれない。


しかし、本当のところは分からない。

分かりたければ、実験するしかない。
世界中で何千人を巻き込んで、

何十年にも渡たる統計をとってみるしかない。


その実験に付き合ってくれる人を

何千人も集められる訳ではないし、

何十年も追跡する暇人もいない。
何千人で足りるかも分からない。


結局のところ、この育成のテーマは、

哲学論争や宗教論争に近い。
唯一、絶対の答えがない。


原始的基本力の信者も、
永遠にそれで良いとは思っていない。


逆に先進的基本力の信者も、
原始的基本力が不要だとは思っていない。


この二つの哲学論争が持ち上がるのは、

まさに、このジュニア世代の現時点と言える。


吾輩がどちら側か?と尋ねられれば、
小3と言う現時点では、

原始的基本力の信者だ。

これは断言できる。


小4ならどうか?

恐らく、原始的基本力の信者かなぁ。。

どうかなぁ。。ふむ。ふむ。⁉︎


小5なら?

そう問われれば、

原始的基本力一辺倒の信者を

続けているとは思えない。


ただ、吾輩の個人的な見解など、

この際どうでもいい。


もしかしたら吾輩だけでなく、

大人の見解はこの際どうでもよいのかも知れない。

実験した人がいないわけだから、

真実の答えを知ることは出来ない。



どの選手をとってみても、
その選手にとっての人生は一度きり。


より神の目から見て、
正しいタイミングで
先進的基本力へと移行させてあげたい。
無論だが、過渡期もある。
1年間なのか。
2年間なのか。
3年間なのか。

もっとなのか。
段階もあるはずだ。


そして見逃せないのは、

何時からどの程度の過渡期を伴って移行するのが正しいのかは、

選手によって違うはずだという点。


これを大人目線で一律に判断するのは重大な責任を伴う。

一律に移行させるのも、一律に移行させないのも、危険だ。

そこには、必ず過ちが入り込み、

何人かの選手の伸び代を潰してしまう。



チームリベルタには、
3年のコーチが何人かいる。


コーチ達やリベルタ関係者が、

このブログを見ていることは、まずないと思うので、

思い切った仮称を付けて紹介しよう。


金田コーチ(仮称)
金田さんは、無理やり感はあるが、

元日本代表の金田選手に似ている。


3年生のレベルを、

落ちこぼれなく高い水準に保っているのは、

金田コーチの功績と言える。

吾輩がみるところ、
金田さんは、原始的基本力の信者だ。


木村コーチ(仮称)
木村さんは、無理やり感は否めないが、

元日本代表の木村和司選手に似ている。

恐らくは、先進的基本力の信者。


五郎丸コーチ
元日本代表の中に似ている選手を探したが、

思いつかなかった。
種目は異なるが、現役日本代表に登場してもらった。

恐らく先進的基本力の信望者。



木村コーチと五郎丸コーチの存在は、

金田コーチと上手く均衡がとれている。

この均衡が大事だ。

急激に指導方針が変わらないが、徐々に動き出す塩梅。


原始的基本力中心から
先進的基本力への移行は、
選手主導が良いと思う。


ヘッドコーチの金田さんは、
試合前にこう話している。
パスしたい子はパス。
ドリブルしたい子はドリブルすれば良い。
選手の判断に任せる。


すばらしい言葉だ。

計算されつくされている。


一方で、練習ではパス練習とトラップ練習が登場し始めた。

これを徐々に増やしていって欲しいと思う。


しかし、試合や紅白戦では、けして言わない。
『練習したでしょ。パスしよう。』
これを言わないのを貫いて欲しい。


以前から指導者は勝利至上主義になってはいけないが、
選手は勝利至上主義にならなくてはいけないと思ってきた。


その意味は、ここにある。

指導者が勝ちたさのあまり、

選手のプレースタイルを変えるのではなく。


選手が勝ちたさのあまり、

自身のプレーを変え始める。

それこそが、神の目からみた最善のタイミングだと思う。



そして、強いチームを選んだ理由もここにある。


もっと強いチームと試合して負ける。
悔しい思いをする。
そして、勝つためにどうすれば良いのか考える。
そう言うチームが良いからだ。


そのためには、

ある程度の勝率を誇っていなければならない。
常勝思考が根付いてこそ、
負けて悔しくなる。


そして負けた時、
勝つために選手は考える。
やがて、普段から練習している先進的基本力へ目が向き始める。
もっとも、選手によっては、
もっと突破力が欲しいと思うかもしれない。

そこで練習するならば、
それは、それでも良いと思う。


こんなに上手くいくかは、
分からないが選手主導で移行できれば、

一番良いと思う。
指導者に言われて始めるパスより、
自分で勝つために始めるパスのほうが、

格段に優れている。


勝つためにパスを選択した選手には、

勝つために自分がボールを持つ選択肢も残る。


指導者に強要されてパスを選択した選手には、

勝つために自分が持つ選択肢は残らない。


そして、選手主導の移行が可能なチームは、

原始的基本力で、強さを誇っていないと難しい。

強いチームを探した理由は、そこにある。


半年経って確信している。
近隣で考えてみると、
チームリベルタは、

移籍対象になり得る唯一のチームだった。


最善の移籍だったと、

現時点では言えると思う。



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